創刊50周年記念特集 今日の耳鼻咽喉科/治療のコツと全身管理
特殊患者に対する治療上の注意点
心疾患のある時
前田 如矢
1
1大阪市立大学医学部第一内科
pp.887-889
発行日 1978年10月20日
Published Date 1978/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208790
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心疾患は他疾患と異なる次のような特殊性がある。すなわち,1)自然治癒は期待できず,適切な医学的管理が行なわれないと増悪する傾向がある,2)容態が変化しやすい,3)心機能低下は他臓器の循環機能に影響をおよぼす,4)原因療法といえるものはない,5)予後を左右する,などである。
以前には心疾患患者の手術は危険であるとされ,手術の絶対的適応や緊急状態を除くとむしろ手術をさける傾向があつた。最近は手術技術および麻酔の進歩,心疾患自体に対するすぐれた治療剤の開発などにより,かなり重篤な心疾患例でも手術が可能となつた。しかしながら,心疾患例の手術は,心疾患の重症度,心疾患以外の合併症,手術術式,麻酔による影響,術中発生する可能性のある偶発症,術後の管理などを慎重に考慮して,最終的な決定を下すべきである。
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