Japanese
English
Bedside Teaching
心疾患患者に対する妊娠出産時の管理
Clinical Management of Pregnant Women with Heart Disease
川俣 和弥
1
Kazuya Kawamata
1
1国立循環器病センター周産期科
1Department of Perinatology, National Cardiovascular Center
pp.631-637
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100408
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はじめに
心疾患を合併する妊娠は全妊娠の約1%とされている1).近年の循環器疾患に対する診療技術あるいは新生児医療の発達に伴い,心疾患合併妊娠の管理方針も変化してきている.以前は妊娠可能年齢まで到達し得なかった先天性心疾患症例でも治療技術の発達により長期生存が可能となり,妊娠が許容されることもあり得るようになってきた.さらに妊産婦の高齢化は,糖尿病,高血圧合併妊娠や,あらたな後天性心疾患,循環器疾患合併妊娠の増加をもたらしてきている.また新生児医療の発達により,母体の心機能悪化の際には早期娩出という選択肢も可能となった.
しかし,循環器医療,新生児医療の発達ばかりでは安全な妊娠・分娩は達成し得ない.産科,新生児科,循環器科が密接に連携をとり,慎重に管理していくことが必要である.心疾患合併妊婦を管理する場合,循環器疾患に対する知識を十分に持っておくことが必要であり,さらにその疾患が妊娠に伴ってどのように変化していくのか,理解しておく必要がある.例えば,同じ弁膜症であっても,僧帽弁逆流症は妊娠に対して比較的よく適応できるが,僧帽弁狭窄症は妊娠経過に伴って急激に肺高血圧が悪化し,うっ血性心不全となることがある.また,外科的修復術後で,完治していると思われる症例であっても,妊娠により心機能の悪化,不整脈の発生をみることがある.場合によっては高次の医療機関へ紹介・母体搬送を行うことも必要となる.表1にハイリスク心疾患合併妊婦を管理する施設に望まれる条件を示す.
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