カラーグラフ 目でみる耳鼻咽喉科
頭頸部脈管系腫瘍の治療
小池 吉郎
1
,
加藤 功
1
,
青柳 優
1
,
木村 洋
1
,
鈴木 八郎
1
1山形大学耳鼻咽喉科
pp.4-5
発行日 1978年1月20日
Published Date 1978/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208598
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いわゆる脈管系腫瘍晒"Vasoformative Tumor"は発生学的には大多数が頭頸部に発生するといわれ,WaltonおよびMcCarthy(1940)の統計では頭頸部に発生するものが56%と過半数を占め,その73%が出生時に,12%は出生後1年以内に発生する。分類は区々であるが,一般にリンパ管系由来が主体のリンパ管腫と,血管系由来が主体の血管腫に大別される。リンパ管腫は,①単純性リンパ管腫,②海綿状リンパ管腫,③嚢腫状リンパ管腫に分けられ,③は腫瘍の発育が急激であることから治療上もつとも問題となる。また,血管腫は臨床的には,①毛細管性血管腫,②海綿状血管腫に大別される。
治療法:治療に先立ち動脈血管撮影が望ましい。これにより流入血管の有無およびその状態からリンパ管腫か血管腫の鑑別と治療方針決定上重要な情報となる。治療法としては外科摘出,血管結紮,電気凝固,凝固剤の局所注入,放射線療法,穿刺吸引などがある。リンパ管腫の治療の原則は外科的摘出が第一優先となる。腫瘍が残存した場合必ず再発するので第二次手術はできるだけ早期に行なう。血管腫の場合はcase by caseで昔からwait and watchの原則は崩れないが,もし腫瘍の増大が急激のときは外科療法の対象となる。多くは支配血管を確認し結紮後低体温麻酔下外科摘出がよい。また,海綿状血管腫は顔面の場合は電気凝固を,口腔内の場合は冷凍凝固を第一選択とする。なお,外科的摘出に際し腫瘍が耳下腺部に及ぶ場合には顔面神経を保存すべきことはもちろんである。
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