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I.まえがき
これまで薬剤の臓器内濃度測定に関しては,血中濃度および尿中排出量,または比較的血管に富む軟部臓器がその対象として検討されてきているが,骨性器官としての中耳よりの排出物である耳漏中薬剤濃度の消長についての研究は十分とはいえないのが現状である。
最初われわれが化膿性中耳炎患者において抗生剤内服投与時の耳漏中の薬剤濃度測定に着目した理由として,咽頭感染症などでは用いた抗生剤が起炎菌に対して感受性ある場合に投与後数時間ないしは十数時間経過すると局所ならびに全身状態の改善がみられるにもかかわらず,中耳感染症において抗生剤の局所投与を併用しなかつた場合内服投与後十数時間を経過しても耳漏の減少ないしは停止といつた症状の好転がみられない場合をしばしば経験したからである。
In the past many reports have appeared on the concentration of antibiotics in the body fluids, serum and urine.
There were only a few reports on antibiotic concentration in the bones and scarcely any report on that of the otolaryngeal regions.
Recently it has been proven that antibiotics make their appearance in otorrheas not only as a delayed action but prolonged in detection.
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