特集 症状からみた検査のすすめ方
耳漏—特にその細菌学的検索を中心として
栗山 一夫
1
1日本医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.641-646
発行日 1974年10月20日
Published Date 1974/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208118
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I.はじめに
"耳漏とは外耳道内に排泄される一切の病的分泌物をいう"(野坂)1),"外耳道から排泄される分泌物の総称である"(切替)2)と本邦で出版された成書には記されており,またDorlandのMedical DictionaryによればOtorrheaについて"A discharge from the ear,especially a purulent one"3)とこれはまたいとも簡単に片付けている。
そうしてみると洋の東西を問わず耳漏の定義はほぼ等しいものと考え,以下筆をすすめてゆくこととする。
さて,この定義に従えば,頭部外傷による髄液の漏出から果ては外耳道湿疹における分泌物まで広く包含されることになり,そこまで言及するとなれば,これはとても筆者の能くするところではなく,また紙数の制限もあることなので,これらについてはごく簡単に記述するに留め,日常診療上もつともよく遭遇する微生物に起因する耳漏の検査について詳述することにしたい。
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