鏡下咡語
医学と教育—非現代的医学教育論
船坂 宗太郎
1
1東京大学
pp.368-369
発行日 1976年5月20日
Published Date 1976/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208349
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随分固苦しい標題をつけましたが,この欄はあくまで随想であることをお断わりしておきます。さて最近,医学教育論が盛んとなつて参りまして,教育理論を学ばないものは医学教育者としてふさわしくないとの声すらあります。これらの論は「医学教育の目的はよい医師を作り,またすぐれた医学者を育てることにあるわけで,この教育のもつ複雑な多面性を深く認識し,そして教育技術がきわめて重要である」という点から発しているのでありましよう。ところで教育が複雑な多面性をもつているのはなにも医学に限つたことではなく,人文科学,自然科学のすべて,いや会社における社員教育まで,つまり人を教育するすべてについて同様であります。とするとあらゆる指導的地位にある方々はすべて教育理論を学ばねばならないことになつてしまいます。そこで教育理論のまえに教育論があるのが自然の理となつてきます。
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