特集 悪性腫瘍
上咽頭癌患者に検出された抗核抗体と抗細胞質抗体について
古川 仭
1
,
梅田 良三
1
,
波多野 基一
2
1金沢大学医学部耳鼻咽喉科学教室
2金沢大学がん研究所ウイルス部
pp.823-828
発行日 1975年10月20日
Published Date 1975/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208268
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1964年,EpsteinらによつてBurkittリンパ腫1)由来樹立化培養細胞2)(試験管内培養において継代可能な培養細胞株)に発見されたヘルペス型ウイルス3)(Epstein-Barr Virus:EBV)が,人癌ウイルスの有力な一候補として脚光をあび,世界中で未知の人癌ウイルス研究への強い刺激を与えたことは周知のとおりである。このウイルスに対する関心は,さらに上咽頭癌(Nasopharyngeal Carcinoma:NPC)患者においても抗EBV抗体価が高率に上昇することが報告4)されるに至つてさらに高まり,数多くの同様の血清学的知見が集積されている5)6)。
NPCにおけるEBVの発癌性をめぐつて最近では,生のNPC細胞内にEBVゲノム(=EBV遺伝因子)が存在することが分子生物学的方法7)8)や,螢光抗体法9)で確認され,その可能性は,かなり濃厚な印象を与えている。
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.