特集 悪性腫瘍
免疫療法
螺良 英郎
1
,
山下 喬
1
,
樋口 佑次
1
1徳島大学医学部第三内科
pp.799-806
発行日 1975年10月20日
Published Date 1975/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208265
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I.悪性腫瘍の免疫療法のあらまし
悪性腫瘍の治療は,腫瘍の種類(たとえば癌か白血病かなど)と発生部位(同じ癌でも口腔癌や肺癌など),病期別を初めとして,個々の腫瘍に応じて異なる治療方針と術式がある。しかし全般的に,外科的療法,放射線療法および癌化学療法の3つが癌治療の三大柱であり,これらを基盤に,補助療法と対症療法が加わえられているのが現状である。この三大柱の治療法に加わえて昨今問題となり,かつその治療効果が期待されているのが,癌の免疫療法である。やがてこの免疫療法も加わつた四大柱の癌治療法が確立してくるものともいえる。
癌の免疫療法の研究歴史は古く,いくつかの思いきつた方法が試みられてきた。しかし免疫学に関する知識や,手技が未熟であつた段階にあつてはこれらの療法も信用されなかつた。免疫化学に加わえて免疫生物学の研究が急速に進み出して以来,ことに移植免疫学という新しい研究領域が進むにつれて俄かに腫瘍免疫学の知識が豊かとなつて臨床応用の段階までに及んできた。
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