今月の主題 DICとその周辺
DICのみられる内科疾患
癌
螺良 英郎
1
,
山下 喬
1
,
樋口 佑次
1
1徳島大教授第3内科
pp.818-820
発行日 1977年6月10日
Published Date 1977/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207228
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はじめに
悪性腫瘍の中でも,広範囲に浸潤あるいは転移を有する癌患者,または白血病患者において,血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation,DIC)がみられることがある.しかし,その頻度は必ずしも高率ではない.悪性腫瘍患者におけるDICには他の疾患同様,感染症あるいは肝障害などのrisk factorが存在している.したがって,癌患者の病態の把握に凝固線溶系の諸検査が必要となりつつある.悪性腫瘍におけるDICには急性で重篤な経過をとる典型的な急性型のDICと共に,出血,血栓などの症状があまり顕著でない慢性型のDICが注目されている.癌におけるDICは主に末期にみられるので,その治療は困難で予後不良のことが多い.DIC発生のrisk factorに注意することが大切である.
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