特集 悪性腫瘍
放射線療法—特に下咽頭・頸部食道癌の治療を中心として
木暮 喬
1
1東京大学医学部放射線科
pp.789-797
発行日 1975年10月20日
Published Date 1975/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208264
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I.はじめに
悪性腫瘍のなかで,もつとも放射線治療が有効に用いられ,ほぼ期待通りの治療成績を挙げている部は頭頸部領域である1)。頭頸部領域は,顔面,呼吸,発声,摂食など,社会生活上重要な機能を持つているため,他の部に比し,特に癌の根治と同様に,形態と機能を保持することが,臨床家にかせられた課題である。
1961年から東大では耳鼻科,放射線科の合同診療が行なわれ,協力して治療方針を定め,照射終了時の決定や治療後の経過観察を行なつてきた。上顎癌では放射線治療,局所清掃,動注または抗癌剤局所療法で,全摘出の必要例がなくなり,放射線治療線量も少なく,白内障などの障害を最少限とし,治療成績も向上した1)。喉頭癌では放射線治療単独で,80%の5年生存を得ているが2),さらに,放射線に微細手術を併用するなど治療成績の向上に努力がなされている3)。
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