特集 症状からみた検査のすすめ方
顔面神経麻痺
小池 吉郎
1
,
大野 吉昭
1
,
北条 和博
1
1新潟大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.647-652
発行日 1974年10月20日
Published Date 1974/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208119
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I.はじめに
顔面神経麻痺は耳科的症状の中で比較的早期に発見される症状である。したがつて,耳鼻科医は,できるだけ早く原因疾患,障害部位を診断し,治療方針を確立する事が大切である。また治療中,患者との接触を密にして,麻痺状態の推移をよく観察し,検査成績を的確に判定して,保存療法がまつたく奏効しないと判断した時は外科手術のタイミングを決める事も考えておかなければならない。
最近は在来の検査法の他に種々の電気的診断法が発達してきたので,これらの検査を行なえば麻痺発症後,少なくとも2週間でその障害部位,予後が推定可能となつた。しかし,検査を行なわずただ漫然と保存療法に終始し,2〜3カ月経過しても回復が認められない時,漸くその麻痺症状の重篤な事を知つて,始めて他医へ紹介されるケースが稀に存在する事は残念な事である。本項では麻痺症状からみた検査の進め方などについて,日常私どもが行なう検査,その成績の取扱い方などについて若干のべてみたいと思う。
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