特集 症状からみた検査のすすめ方
序文
pp.615
発行日 1974年10月20日
Published Date 1974/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208113
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検査なしでは診断はできないが,検査さえすれば診断できるというわけでもない。必要な検査はすべきであるが,何が必要かは医師の判断による。検査の目的は主として診断である。主訴と症状から診断名を予想して,それに必要な検査をするのが,われわれの頃の方法であつた。最近では考えられる検査を全部行なつて異常なものを見出すという傾向が強いように思う。これはフランス式のようであるが,大病院なら可能であろうが,個人では行ない難い。制限された数少ない検査から診断せねばならないことが多い。それには検査結果を有効に使うことである。すなわちその検査でどこまでわかるかということをよく知つておくのは大切なことであろう。
医学の進歩とともに検査方法も増え,検査技術も進歩した。それにつれて過去には盛んに使われた検査も,現在では行なわれなかつたり,新しい検査方法の蔭に,有用な検査が顧みられなくなつたりしていることがあると思う。
今回は,これまでの多くの耳鼻咽喉科検査をふり返つて,その有効性を洗い直して,一つの検査で何がわかるか,その次に行なう検査は何なのかを段階的に記述してみるという主旨でまとめてみた。したがつて症状からみた検査の進め方ということになつたが,明確に診断できる検査の限界などがはつきりすればさらに有用になるであろう。
検査としては,誰にもできて,簡単で,結果の判断が容易であるほど役に立つであろう。
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