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I.はじめに
カナマイシン(KM)は,1955年梅沢1)によつて,Streptomyces kanamyceticusから発見されて以来,結核その他の感染症に広く使用されるようになつたが,一方その副作用に関する報告も,数多く行なわれている。その主なものは,第Ⅷ脳神経の障害で,毒性は一般にストレプトマイシン(SM)に比べて強いといわれている。しかし障害の進行に関しては,SMによる障害が投与中止後にも発生したり,または進行したりすると報告されているのに対して,KMにおける障害ではそのような例はほとんどみられないといわれてきた。われわれはKMの投与中止後に,難聴が進行し聾となり,また半規管機能廃絶をきたした症例を経験したので,これらの検査成績を報告し,あわせて文献的考察を行なつた。
It is generally considered that kanamycin deafness rarely occurs or increases in severity during the period the drug may be administered.
However, in the present case the onset of kanamycin toxicity began to show when 44 grams of the drug was administered and, 10 days later the patient turned completely deaf. And one month after this the patient developed signs of functional disturbances of the semicircular canal.
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