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カナマイシンによる聴器障害の予防についての基礎的研究
大和田 健次郎
1
,
志多 享
2
,
若沢 正
3
1慶応大学医学部耳鼻咽喉科学教室
2大阪鉄道病院耳鼻咽喉科
3明治製菓川崎工場
pp.423-426
発行日 1962年5月20日
Published Date 1962/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202852
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カナマイシン(KM)は広い抗菌スペクトラムを有し,耐性菌もあまり出現していないので,有用な抗性物質として結核性疾患,化膿性疾患などに広く使用されている。しかしその副作用として聴力障害があることは既に報告されている。聴器障害の実験的研究としては,竹内(1958)が白鼠を用い,条件反応を応用して聴器障害を実験した結果では,聴器障害はあるが,ストレプトマイシン(DHSM)より軽度であった。また三辺(1959)は猫を用い,音刺激としてクリックをきかせ,蝸牛電気反応を測定した。その結果KMはSM硫酸塩より聴器障害が少ないと報告した。我々は(1959)KMを猫に投与し,SMと比較したがKMはDHSMより障害が高度であつた。
臨床的報告では市川(1958)堂野前(1958)がKMを使用した患者に聴力障害が現れた例を報告して以来,聴器障害性が注目されて来た。
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