薬剤
汎副鼻腔炎根本手術におけるPentazocine Diazepam併用によるNLA変法麻酔について
松本 和彦
1,2
,
住田 邦夫
2
1順天堂大学耳鼻咽喉科学教室
2江東病院耳鼻咽喉科
pp.285-289
発行日 1974年4月20日
Published Date 1974/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208055
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Ⅰ.緒言
慢性副鼻腔炎の根本手術は,患者にとつては疼痛を伴うものという様な通念があるように思えるし,また耳鼻科医自身も,その通念に慣れ,痛みを我慢させるものといつた観念がいくらかある様に思えるが,近時麻酔法の進歩により,気管内挿管による全身麻酔下の手術施行例も増加してきたが,麻酔医を必要とする事,あるいは経費,設備の増加,さらに気管チューブが手術操作の防げとなること1),術中出血が多いこともあり2),決して最適の麻酔法とは言い難い。
これに対し伝達麻酔は簡便な方法ではあるが,鼻,副鼻腔の知覚神経支配が多岐にわたる点が問題となる。すなわち,篩骨洞,蝶形洞の完全な麻酔には三叉神経第一枝の分枝である後篩骨神経,一部前篩骨神経のブロックを必要とし,上顎洞,鼻腔外側壁には第二枝の上顎神経の完全なブロック,あるいは上顎神経と翼口蓋神経節のブロックを必要とする。これらのブロックをすべて確実に行なう事はかなり至難の事といえよう。
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