特集 気道アレルギー
IgEを含めたアレルギーおよび免疫学の最近の進歩
伊藤 幸治
1
1東京大学医学部物療内科
pp.853-869
発行日 1973年10月20日
Published Date 1973/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207986
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.はじめに
1921年PrausnitzとKustner1)によつて魚による食餌アレルギー患者血清中に健康人皮膚にpassive transfer可能のfactorが存在する事が明らかにされた。その際,彼らは枯草熱(hay fever=allergic rhinitis)の血清でも試みているが血清力価が低かつたせいか成功しなかつた。しかしまもなくDe Besche2)の喘息にひきつづぎFreeman3)がparoxysmal rhinorrheaで同様のfactorを見い出し1925年Cocaら4)は主として枯草熱の患者血清を使つてこのfactorを調べてreagin(レアギン)と名付けている。このレアギンが1966年に至つて石坂氏夫妻5)によつて血清中に微量に存在する未知の免疫グロブリンであるIgEである事がわかり,即時型アレルギーの神秘が解き明されるに至つた。石坂氏らもまた花粉症の患者血清からIgEを分離した事を考えると耳鼻科とレアギンの結びつきがきわめて深いという事が言えよう。
ここではまず最初にアレルギー諸疾患の位置づけを明らかにし,その中でIgEの臨床的意義を述べる。さらに最近話題の抗体産生理論についてふれたい。
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.