絵で見る免疫学 基礎編71
IgEを介したアレルギー反応 2.アレルギー抑制の要因
高木 淳
1
,
玉井 一
2
1アボットジャパン(株)器機診断薬事業部
2栄光病院
pp.1380-1381
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100163
- 有料閲覧
- 文献概要
酵素活性を持つアレルゲン
アレルギーのメカニズムがよく解明されていなかった1960年代の末に,洗剤製造工場や食肉をやわらかくするパパイン製造工場の従事者にアレルギー患者の多いことがわかった.その後1990年代の末に,洗剤の主な成分であるサブチロペプチダーゼAやパパインがIg(immunogloblin)Eの免疫応答を起こすことや,さらにダニの糞の主要なアレルゲンであるシステインプロテアーゼにパパインと分子相同性があることが解明された.
これらの酵素(アレルゲン)は上皮細胞の細胞間結合組織を切断し,上皮下に存在する抗原提示細胞に取り込まれ選択的にTH2を活性化し,アレルゲンに対するIgE抗体を産生させる(図1).アレルゲンが再度侵入すると,マスト細胞上の特異的IgEに結合しマスト細胞を活性化する.しかし,すべてのアレルゲンが酵素とは限らず,フィラリアのアレルゲンなどは酵素のインヒビターであるなどまだ不明なことが多い.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.