特集 小児耳鼻咽喉科疾患
小児の難聴
太田 文彦
1
1天理よろづ相談所病院耳鼻咽喉科
pp.717-726
発行日 1972年10月20日
Published Date 1972/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207833
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小児期の難聴は大きく分けて幼児期と学童期にそれぞれ大きな問題がある。すなわち,
1.乳幼児期には言語の発達が阻害されるため言語によるコミュニケーションができず,ひいては知能,精神面の発達にも影響する。また難聴児の教育の問題がある。ろう教育をすべきか難聴教育をすべきかの決定に際して道を誤らぬようにせねばならない。
2.学童期には耳管性,中耳炎性の難聴をきたすことが多く,学業成績にも影響してくる。また生来性の一側性ろうがこの時期に発見されることが多く,それによつて将来の進路に制限を受ける場合が生ずる。この年齢になつて発現し進行しはじめる難聴,たとえば家族性進行性難聴や耳硬化症などがあることも考慮に入れねばならない。
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