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Ⅰ.緒言
書字検査(遮眼書字法―福田,1943)1)は,数少ない上肢の偏倚検査のひとつであるというばかりでなく,偏倚の軌跡がそのまま記録として残せること,小脳性の失調も鑑別できることなど,すべての偏倚の検査の中でもことにすぐれた特徴を持つている。しかし,左CP(canal paresis)に対する左偏倚の出現率が,右CPの右偏倚に較べて,かなり悪いことは上村ら(1963)5)が指摘している通りである。これは,書字が元来右手でのみ行なわれるところに欠点があると解されているようであり,左手での書字も試みられている(日比ら,1970)3)。しかし,左手で書いたものを,右手で書いたものと同等に比較できるものかどうか疑問がある。私は,書字検査におけるこのような左右偏倚の出現率のunbalanceは,書字が右手でしかできないというような根本的な欠陥によるものではなく,検査法を多少modifyするだけで解決できたと考えるので報告する。
書字検査は,福田の原法においては,書字を被検者の正面で行なうことになつている。ところで,われわれは字を書くのに,実際は正面ではなくやや右寄りに書いている。そうして,真正面に書くと字が右へ偏書しやすく,またずつと右寄りに書くと左へ偏書しやすい傾向がある。このことが,書字検査において左右の偏倚の出現に差をつけているのではないかと考え,次のように検討した。
In performing writing test in vertical writings when the examiner stands directly in front of the testee the written words have tendency to be drawn towardsthe right. This is because the arm muscles in the act of writing have their best performance, not directly perpendicular but, tilted about 15 degrees towards the right. These facts have been proven by the results of testing 102 clinical cases and 26 normalpersons.
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