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I.はじめに
喉頭に発生する良性腫瘍には,いわゆる炎症性産物であるポリープや結節は別として,乳頭腫,嚢腫,線維腫,血管腫などいろいろある。なかでも喉頭嚢腫はかなりまれにみることがある。嚢腫のなかでも喉頭蓋舌面には出現頻度が高い。一方,声帯に発生する嚢腫は大変まれで,文献的にみても30例に満たない。これは声帯嚢腫が文献として報告するには価値が少ないためとも考えられるが,やはり発生頻度が少なく,したがつて報告例も少ないものと考えられる。endolaryngeal microsurgeryの発達した今日,声帯嚢腫の診断および摘出術に際してはとくに注意を要することもないように思われるが,間接喉頭鏡検査でただちに嚢腫と診断することはかならずしも容易でない。最近われわれは声帯嚢腫の1例を経験したので,その組織所見および発生病理について少しく検討をくわえ報告したいと思う。
A man, aged 33 complained of hoarseness. With an examination through indirect laryngoscopy, a small, pearly white, spherical tumor was found on the vocal cord.
Under general anesthesia, the tumor was completely removed by means of endolaryngeal microsurgery.
Microscopical examination showed the growth to be an epidermal cyst containing keratin in layers.
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