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I.はじめに
歩行検査は,閉眼で前むき・後むきに6mまたは10m歩かせ,偏倚の程度を測定するものである。平衡検査の中ではもつとも単純なもので,誰れによつて提唱されたかも良くわからないし,学問的に深く検討を加えられた形跡もほとんどない。われわれが知りえた文献は,わずかに加藤・片山(1949)が,歩行検査はいきなり閉眼で行なうべきではなく,1.5m程度の開眼準備歩行ののちに閉眼歩行に移るべきだという論説一篇のみであつた。
さて歩行検査において,前むき歩行の場合は迷路機能の低い側へ偏倚するのは当然であるが,後むきの場合は一般に迷路機能の高い方へ偏倚することが知られている。しかし,くわしく観察するとその何割かに,後むきでも迷路機能の低い側に偏倚するものがある。後むきの歩行偏倚の大部分が,一般の偏倚に反して,なぜ迷路機能の高い側へ向かうのか。また,迷路機能の低い側へ偏倚するものは高い側へ偏倚するものとどこがちがうのか。これらの点についての意味づけはまだ行なわれていないようである。われわれは,この2点について検討を試みた。
Two types of deviation will be present in the walking-test; one in which the deviation may occur towads the same side in taking steps forward or backward and the other in the opposite side in similar movements. The former is lateropulsion, Fischer and Wodak's Körperneigungs reflex and the latter laterotortion, Körperdreh-reflex.
In clinical tests the CP predominated in cases that showed laterotorsion and DP or normal did in cases that showed lateropulsion.
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