外耳道骨増殖症による外耳道完全閉塞の1治験例について

A COMPLETE OCCLUSION OF THE EXTERNAL AUDITORY MEATUS BY HYPEROSTOSIS

　I．はじめに

　外耳道壁に発生する骨性腫瘤を総称して「外耳道骨増殖症」なる名称が与えられているが，これには臨床的に，球形ないし半球形のごとく限局性の腫瘍状をなすものと，びまん性に骨部外耳道壁の一部ないし全部が不正形に骨増殖しているものとの2種に分類される。前者は「Exostosis」，後者は「Hyperostosis」といわれているが，しかし両者には厳密なる区別はなく，移行型を示すものも中にはあると報告されている。

　このたび私どもは，「外耳道骨増殖症」による完全な外耳道閉塞の1症例を経験したので，ここに文献的考察もあわせて報告する。

　A girl, aged 17, complained of hearing loss and sensation of obstruction in her left ear. Examination revealed a complete occlusion of the external auditory mcatus by a mass of bone-like tissue, The patient made an uneventful recovery after the operative removal of the mass and her hearing acuity regained to a satisfactory extent.