特集 悪性か? 良性か? 開業医のためのがんの見つけ方
症状・所見からのアプローチ
難治性外耳道病変―外耳道癌,悪性外耳道炎の鑑別
川島 慶之
1
,
堤 剛
1
Yoshiyuki Kawashima
1
,
Takeshi Tsutsumi
1
1東京医科歯科大学耳鼻咽喉科
キーワード:
難治性外耳道病変
,
外耳道癌
,
悪性外耳道炎
,
耳痛
,
血性耳漏
,
外耳道肉芽
,
顔面神経麻痺
Keyword:
難治性外耳道病変
,
外耳道癌
,
悪性外耳道炎
,
耳痛
,
血性耳漏
,
外耳道肉芽
,
顔面神経麻痺
pp.899-902
発行日 2022年8月1日
Published Date 2022/8/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000227
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
難治性の外耳道病変のうち,診断の遅れにより急激に予後が不良となる疾患として,外耳道癌と悪性外耳道炎が挙げられる。外耳道癌は外耳道の皮膚から発生する悪性腫瘍であるのに対し,悪性外耳道炎は主に外耳道の炎症の周囲組織への波及により生じる側頭骨の骨髄炎である。このように,両者の病態は本質的に大きく異なるものの,その臨床像はしばしば酷似する。両者とも極めて稀な疾患であり,かつ,発症早期には,耳せつ(耳癤),びまん性外耳道炎,外耳道真珠腫などといったありふれた外耳道疾患と共通した臨床像を呈するため,早期診断は容易ではない。治療抵抗性の外耳道炎の診療に当たっては,常に外耳道癌と悪性外耳道炎の可能性を念頭におき,疑わしければ速やかに生検および画像検査を行うことが肝要である。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.