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I.はじめに
鼻副鼻腔疾患に関するレ線診断は,すでに古くより行なわれており,1898年Meyer1)は,上顎肉腫の大きさをレ線写真を用いて測定した。それ以来,鼻副鼻腔疾患,特に上顎癌の診断には病歴,鼻鏡検査,試験的開洞術などのほかにレ線写真が用いられ,その撮影法も種々試みられてきた。上顎癌の診断に主として用いられる撮影法は,後頭前頭位法,後頭頤法,垂直頤下法,Rhese氏法,断層撮影法,さらに上顎洞造影撮影法などがあり,腫瘍の診断およびその進展範囲を知るのに重要な役割をもつている。
一方,血管造影法は,1927年Moniz1)が脳血管に行なつたのが最初である。そして,造影剤の改良進歩と共に脳血管,すなわち内頸動脈造影が容易に行なわれるようになり,脳腫瘍などの頭蓋内疾患の診断には欠くことのできないものとなつた。しかしながら,外頸動脈造影は報告も少なく,しかもその大部分はMeningiomaの診断のために行なわれたものである。上顎悪性腫瘍に関する血管造影法については,Schoenmackersら(1956)5),Scheunemannら(1958)7),相原(1965)1),Weidnerら(1966)11)などの報告をみるにすぎないが,この領域に血液供給の役割をもつ外頸動脈の造影により,その分枝の変移,狭窄,消失あるいは血管増生(vascularisation)などを証明することによつて,腫瘍の進展状態を知り得るのではないかと考え,本法の上顎癌に対する診断的価値について観察検討を進めた。
With the intent of testing the efficacy of angiographic method in localizing maxillary tumor, 60% urographin was injected into the carotid artery in a known case of maxillary cancer.
The result showed what appear to be displacement of branches and arterioles of the maxillary artery with vessel constriction in other places, a picture which was in a close agreement with the existing conditions later found at the time of operation.
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