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I.はじめに
慢性副鼻腔炎の治癒のためには各副鼻腔を融合した洞腔にすること,さらにこの融合洞と主鼻腔との間に広い交通路を確保することの2つの条件がもつとも重要なことであると思う。1)2)3)5)
われわれはこの方針のもとに手術法を考察してきた。そのためには篩骨洞と上顎洞とを1つの融合した洞腔とすることがまず必要となつてくる。この方針のためには赤池氏4)が上顎洞の罹患粘膜を篩骨洞に移植する方法も行なわれている。
私らの教室では昭和34年頃より対孔の粘膜を鼻底にまで延ばして広く長く切りとり,粘膜弁の基底を後の骨縁におき,粘膜弁を篩骨洞と上顎洞との移行部まで延長し,その底面に移植することを計つた1)。しかしその後の観察ではこの方法を行なつても両腔の移行部は著しく狭窄してくることが判つたので,このため広い粘膜弁を用うるために口腔の頬部の粘膜を用いることを試みた。
しかし材料をあまり広く取ることは患者に苦痛を与えるので皮膚を用いてみることにした。
手術法は型のように上顎洞,篩骨洞の粘膜を剥離する。両洞の移行部に皮膚(Thiersch)をできるだけ広く植皮する。
術後は口腔創からガーゼで圧迫固定し5〜6日後にガーゼを除去する。
他の術側は粘膜を除去した後,植皮を行なわず対照とした。症例は主として膿汁が上顎洞に貯溜した粘膜変化の強い例に行なつた。
In order to maintain a space for free passage between the maxillary and the ethmoid sinuses following its operative establishment, this passage was lined with skin-graft. This procedure was not altogether successful.
However, in animal experimentation it was possible to transform ordinary skin-graft into a functioning mucous membrane. But, in man to materialize similar transformation it seems that some unknown factor is required in the after-treatment.
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