Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.緒言
耳鼻咽喉科領域における手術においては,その手術部位の性質上止血が非常に困難であることが多い。すなわち外科的に結紮することが不能な深部の手術および骨よりの出血などが大部分で,常に耳鼻科医は出血との戦を演じているがごとき感がある。したがつて術中,術後においても,個体の血液凝固機転による止血を待つのみであるため,常に出血に対する不安は耳鼻利医の宿命ともいえよう。さて最近私はアレルギー体質を有する副鼻腔炎患者に蛋白分解酵素剤のプロナーゼPを長期投与直後,副鼻腔根本手術を施行したところ,血液凝固機序異常によると思われる大出血を発現し止血困難であつた症例に遭遇したので,該患者に施行した止血療法ならびに血液凝固学的検討につき報告し,諸賢の御批判を仰ぐしだいである。
A profuse postoperative hemorrhage occurred in a male, aged 15 following an operation on chronic sinusitis. Blood examination showed defibrination which was thought to be caused by preoperative administration of pronase-P. The recent progress in blood tests in deriving the causative factor and diagnosis of hemorrhages and the methods of treatment of hemorrhages are discussed.
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.