特集 形成と機能訓練
機能訓練
食道発声の訓練法
高藤 次夫
1
1東京厚生年金病院耳鼻咽喉科
pp.1427-1433
発行日 1966年12月20日
Published Date 1966/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203709
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ.はじめに
われわれが社会生活をいとなむ際に,自分と他人とを結びつける手段として,ことばを使う。特に今日の如き,きびしい生き方をしいられている現代社会にあつて,人間関係が複雑になればなるほど,お互いの理解を助けるために,ことばの果す役割は実に重大である。
近年悪性腫瘍のために,咽喉全摘出術をうける患者の数は増加の一途にあり,アメリカでは年間約2,500名に達し,無喉頭者の数は凡そ4〜5万人を数え,わが国でも年間400名,その数は数千名におよぶといわれている。これらの人びとは術後に発声機能を奪われてしまうわけで,手術後も,この疾患の悲惨な爪跡をのこす結果になる。ある人は孤独の淋しさに堪えかねて,自殺を企てたものすらあつた。そこで,失なわれた声を再びとりもどさんがためには,発声法を根本的に習いなおさなければならない。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.