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Ⅰ.研究の背景と目的
がん治療により失声を余儀なくされた喉頭摘出者のquality of lifeに最も影響を及ぼす代用音声1)2)は,食道発声,電気喉頭などがあるが,言語療法士などの専門職が音声リハビリテーションを実施している施設は限られている3).さらに在院日数の減少とあいまって,本格的なリハビリテーションは,全国に活動拠点をもつセルフヘルプ・グループが担っている現状である.セルフヘルプ・グループの活動成果や参加者の現状を報告したものは多いが,獲得率には個人差,グループ差が認められる4)〜6).失声は対人関係に困難をきたす可能性が高く,抑うつ,引きこもりなどを引き起こし,それらの反応が代用音声の獲得を困難にする7).これは食道発声法が反復練習で体得する以外には獲得方法がなく,会話として成立するまでに時間を要すことが関連していると考えられる.したがって訓練継続の意志を持ち行動できるような支援が必要となるが,退院後継続的に看護介入した報告は少ない8).療養法における患者の主体的取り組みには患者の自己決定が重要である9).自己決定は,意志あるいは動機付けに基づいて目標を達成するための行動の選択肢を想定し,何らかの価値に基づいて行動を決定,実践し,それを評価するという一連の行動プロセスとして捉えることができ10),何らかの内発的満足を生み出す11).つまり食道発声のための喉頭摘出者の自己決定された行動が訓練継続のエネルギーとなると考える.
本研究は,食道発声法獲得に関する手術前から退院後の外来通院を通した看護介入について手がかりを得るために,初心クラスの喉頭摘出者の食道発声法の訓練継続に寄与する日常生活および訓練上の自己決定行動の様相を明らかにすることを目的とした.
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