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Ⅰ.緒言
1911年Neubergは酵母中にピルビン酸を脱炭酸してアセトアルデヒドにする酵素を発見し,これを脱炭酸酵素―Carboxylaseと命名した。その後1937年にLohmannとSchusterはこの脱炭酸酵素の補酵素―Cocarboxylaseを単独分離し,これがビタミンB1(チアミン)のピロリン酸エステルであることを証明した。ビタミンB1は生体内でATP,Mg++などの存在のもとにthiaminokinaseの作用により,燐酸化されCocarboxylaseとなつてはじめていろいろの生理作用を発揮するものである。事実ビタミンB1はその大部分がCocarboxylaseの型で副腎,心筋,骨髄,腎,肝,筋,脳,血液など生体内に広く分布してをり,生体内代謝とくに糖代謝に重要な役割を果している。このCocarboxylaseは第1図に示すごとき構造を有し,白色無晶形の粉末で,吸湿性を有し,水分に溶け易く,アルコール,エーテル,クロロホルムなどに難溶性である。また動物実験ではあるが毒性は少なくLD50はマウス静注による急性毒性試験において360mg/kgを示し,ビタミンB183mg/kgの4倍の安全性があるといわれる。
以上述べたごときCocarboxylaseの薬理作用から考えてその製剤であるCarboxinは従来のアリナミンおよびアリナミンFを始めるとするビタミンB1剤より生体内において,必要とする組織に速かに到達し,そのままの形でただちにその効果を発現するに到るものと思われる。
For treatment of tinnitus aurium and nerve deafness carboxin, composed principally of cocarboxilase, was administered to 25 patients, with deafness in 39 ears and tinnitus in 25 ears. The agent was given intravenously in dosage of 30 to 40mg daily for a period of 20 days as a prescribed course. Improvement of hearing occurred in 38.5% of cases and tinnitus in 44%.
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