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Ⅰ.緒言
耳鼻咽喉科領域の手術中あるいは手術後における出血は実地臨床家のもつとも苦心する問題の一つである。もちろんいろいろの止血剤も数多く生産されてはいるが,現在なお局所の止血法の重要であることは言を俟たない。しかし耳鼻咽喉科領域における手術野は狭く,あるいは深く,その上反射作用なども加わり止血操作も困難なことが多い。しかも最近全身麻酔による扁桃摘出術が多く行なわれるようになり,その上Fluothaneが用いられるようになるとボスミンの使用が制限され好むと好まざるにかかわらず結紮を行なわねばならない症例が増加しているように思う。その際,わたくしは吉田氏式結紮鉗子を用いてきたが,今少し安易な方法がないものかと考案していたところ,たまたま脳外科手術を見学中硬脳膜等の出血部位をも電気凝固止血をするのを見,このような部位に電気凝固法を行なつても後障害のないことを知り,耳鼻科医が日常用いている銃状ピンセットを電極とした簡単な装置による電気凝固法を東京電子工業株式会社の三木正男氏とともに試作し昭和37年以来改良を加えながら使用してきたが,昭和38年LaryngoscopeにJohn E. Magielskiにより"Electrocautery hemostasis"が発表され期せずしてそのIdeaの同じなのに驚き,かつ励まされ,わたくしどももこれを多分に参考とするようになつたが,さらに改良を行ない一応完成されたので,ここに諸先生の御追試,御批判を仰ぐために発表する次第であります。
A simple and a small electrocoagulator employing high frequency waves was devised for use in hemostasis of tonsillectomy under fluothane anesthesia. There was no postoperative hemorrhage nor complications in the postoperative wound healing in the 80 consecutive operations.
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