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Ⅰ.緒論
耳鼻咽喉科学領域における手術法の大きな進歩によつて,手術侵襲の深度も深くなつた。ことに悪性腫瘍に対する手術技法は全身麻酔の恩恵に浴して,飛躍的なものがあり,悪性腫瘍患者の治療延命に輝かしい成果を上げている。しかしながら頸部廓清を含めて拡大された手術侵襲はともすれば,本来の生理的機能(発声,咀しゃく,嚥下運動など)を奪い,延命はしたものの,かくのごとき機能廃絶によつて,術後いいしれぬ悩みを抱いているものは多いことであろう。上顎腫瘍,舌腫瘍,喉頭腫瘍患者の術後における発声障害,咀しゃく運動障害,嚥下障害,上肢運動障害などはその代表的なものといえる。最近では,このような術後障害を反省し,いたずらにradical operationにばかり走らず,可能な限り,生理的機能を温存したconservative operationへの工夫がなされていることはrehabilitationの問題を重視して来た一つの趨勢である。
喉頭癌の中でも喉頭蓋にのみ限局したものでは,頸部廓清を併行して喉頭蓋のみを切除し,声門を保存した喉頭蓋切除術が可能である。しかし手術による喉頭蓋の人為的欠損によつて,嚥下時における声門部の被覆ができず,嚥下物の気管内流入,術後肺炎という事態を経験する機会が少なくない。著者らは喉頭蓋癌2例について,術後の嚥下運動をcineradiogramにて観察し得たので報告する。
A case of carcinoma of the epiglottis was treated by performing epiglottidectomy and neck resection. Forty days after the operati-on the patient was able to swallow his food without any difficulty. This act of swallowi-ng viewed by means X-ray was recorded into a moving picture film. From this study it was concluded that the less of epiglottis is not a hindrance to the function of swallow-ing of food.
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