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Ⅰ.緒言
我々の日常遭遇する耳鼻咽喉科の手術,特に慢性副鼻腔根本手術の際,その手術部位から離れた皮下組織にたまたま,浮腫ないし,出血斑を認めることがある。
従来は術者又は介助者がその部位を圧迫,損傷したためであろうと考えられ,特に深く追求されていなかつた。然し手術時に充分注意して皮膚を圧迫しない様,努めてもかかる現象が生ずる。更に眼瞼部皮下出血,結膜下出血は手術側のみならず,反対側にも起ることがある。従つてこの様な対側性皮下出血迄も手術時の圧迫,或いは手術操作による直接の血管破綻をもつて説明するのは困難であろう。鈴木氏もかかる患者の臨床例を報告し,この様な患者の自律神経機能の失調がその原因であろうと述べている。又飯田,深沢はモルモットの口腔内刺激(クロトン油使用)で眼瞼部の出血,シヨックの発現を認め,その際遠隔諸臓器に浮腫,出血などの血管系障害が起ることを観察した。これは主として自律神経を軸とする血管運動神経の過剰反応によるものであると述べている。我々も今回慢性副鼻腔炎の根本手術後,反対側にも皮下出血,結膜下出血を生じた3症例を経験したので,この現象について若干の検討を加えた。
Three cases are reported in whom there were subcutaneous hemorrhage around both eyes following a radical sinus operation. The-re was no injury or undue pressure incurred to the skin of this area nor was there ten-dency for hemorrhage in either one of these cases. In 2 cases sympathetic disturbance was recognized.
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