特集 耳鼻咽喉科におけるショック様症状とその対策
〔総論〕
咽頭粘膜麻酔ショック様症候の臨床概論
大藤 敏三
1
1日本医科大学
pp.976-978
発行日 1963年12月20日
Published Date 1963/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203153
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はじめに
耳鼻咽喉科疾患,とくに咽頭疾患における手術操作を行なう場合,局所麻酔薬を使用する第1段階において突如,外観上健常と思われる,またはその仮面をかぶった健康状態の患者に所謂一次性ショックの現象が発来し,軽症の場合は数分乃至数十分の安静休養を以て回復するが,最悪の場合は生死の域を彷徨し,幸にして回復すれば結構であるが,あらゆる治療対策を尽したにもかかわらず,ついに死亡するに到る。きわめて稀ではあるにしても1発せんか,甚しい不幸を惹起する副現象のある事はおよそ臨床に従事した医家としては,自験は無いとしても見聞する所であり,また実際に1例でも経験した臨床家としては,はなはだしく自責の感に陥る難問の1つがこれである。
その発生機序,症候,処置,進んで予防的手段,日常の対策と設備,premedication,法律的心構えなど逐条的に解析,分類,総括する事は臨床医学向上のためにも忽にすべからざる緊要事と考えられる。各論についてはそれぞれの執筆者によつて解明せられているゆえ,きわめて概論的に要項的簡結に総括して日常臨床の安全辨として見度い。
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