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扁桃剔出術と自家中毒様症状
菅野 亨
1
,
芝野 忠夫
1
,
中村 明正
1
1京都府立医科大学耳鼻咽喉科教室
pp.1017-1020
発行日 1962年11月20日
Published Date 1962/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202951
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例年の事ながら,耳鼻咽喉科外来では季節的に外来扁剔患者が急増し,その中には術後,時に出血を来したり,更には悪心,嘔吐や,まれには脱水症状を来したりするものも見られるが,案外,我々自身もそうであつた様に,これ等を数多く手術をした際にその一部に見られる当然の結果としてなほざりにしている点が無いとはいえない。
本学耳鼻咽喉科教室で,昭和36年7月15日から9月15日迄に扁桃剔出術を行つた4歳から14歳に亘る外来扁剔患者総数89例中その4例に術後数時間から1日で,この扁桃剔出術が原因となつて生じたと思われる所謂自家中毒症状―即ち,悪心,嘔吐,食慾不振,脱力,嗜眠,脱水症状―を見たのであるが,これ等はすべてが術後に出血を生じた症例でもなく,又,すべてがエーテルを使用した症例でもなかつた。然し,これまでは,これ等を術中に或は術後に血液を嚥下した為に当然の結果として生じた悪心,嘔吐或は脱水症状位として見過して来たのであるが,そのそれぞれの発症の由来を考えて見ると,単に暑気と脱水症状というだけではなくて,そこに,最近,殊にドイツにおいて問題とされて来た幼児の自律神経異常の問題と関連して興味ある点があるかに考えられたので,その概要を述べ,2,3の考察を加え,諸賢の御批判御教示をこう次第である。
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