特集 鼓室形成術
鼓室成形術156例,160側の経験から
高岡 壮一郎
1
,
広島屋 俊博
1
,
早崎 弘晃
2,3
1静岡赤十字病院耳鼻咽喉科
2慶応義塾大学医学部耳鼻咽喉科
3前静岡赤十字病院耳鼻咽喉科
pp.961-966
発行日 1962年10月20日
Published Date 1962/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202941
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I.緒言
本邦において聴力改善手術がその緒につき始めてから凡そここに10年の星霜を経,今や鼓室成形術と名付けられた一連の手術が慢性化膿性中耳炎の手術的治療の大勢を示すものとして一般に行われる様になり,又その手術成績についても諸賢の数々の報告が見られ,手術手技,後治療等の中にあつて,反省,或は改善すべき問題を加え再検討の時期に来ているとさえ云われている今日,我我も静岡赤十字病院耳鼻咽喉科において,かつては聴保根治手術を中心として慢性中耳炎の手術的治療を行つて来たが,昭和34年6月,手術用顕徴鏡の入手以来聴力改善手術を実施し,その156例160側の症例についていささかの検討を試み,主として病変の所在と聴力改善の程度,手術手技上の二,三の工夫,起炎菌の問題等について反省する機会を得たので,ここにその概要を述べ大方の参考の一端となればと冀うものである。
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