—北村教授開講十周年記念論文—鼻粘膜炎症と体質をめぐる問題（その2）

　まえがき

　われわれは前稿に於て副鼻腔炎（E）と副鼻腔炎と下甲介の萎縮を伴つた肥厚性萎縮性鼻炎又，われわれの萎縮性鼻炎Ⅱ型（A₂）の体質歴，合併症全身的上皮系，間葉系機能，細胞外液相量，体型，耳及び鼻のPn，鼻腔巾，口腔粘膜結合織の検査から，いろいろの点で検査結果に差異を見出し，これが両者の病型の差異に関係があり，ひいては粘膜の反応性の問題と関連するであろうと推論した。そこで更にこれらの検査結果の差異を生ぜしめる高次の原因は何かが問題になつた。その原因を先天的体質であると片づけるのは余りにもeasy goingであると考えたからである。そして更にこの高次の原因が実際に鼻粘膜の炎症型に関係があるのか，あるとすればどのようなかかわりあいに於てであるのかを知ろうとした。これらのためにまず鼻粘膜炎症による全身的変化，鼻粘膜炎症と自律神経，内分泌機能の関係が問題とされた。

To gain a better understanding of the in-flammatory types of nasal mucous membrane the effect of inflammation that may involve the paranasal sinuses is studied from the standpoint of their influence on the body as a whole as well as that on the autonomic nervous system, adrenal hormone, thyroid and salivary glands. As the result it is found that secretory disturbance in hormone plays a major role in some types of inflammation particularly, atrophic rhinitis.