特集 出血と止血
Ⅱ.各論
3.特殊疾患
a.無力タラーゼ血液症とその遺伝
高原 滋夫
1
,
藤森 春樹
1
1岡山大学医学部耳鼻咽喉科教室
pp.337-340
発行日 1961年4月20日
Published Date 1961/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202658
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耳鼻咽喉科領域においては手術創面の消毒に好んでオキシドール(3%過酸化水素水H2O2)が用いられている。その際H2O2の滴加と同時に多量の気泡の発生が見られることは周知の通りである。この現象は血中に存在するカタラーゼ酵素の作用によりH2O2が
2H2O2―→2H2O+O2↑気泡
の化学変化を起こし,このO2が気泡となつて出るのである。
このカタラーゼは血液はもちろん,肝,脾,腎,筋肉など,およそ体細胞中のいたるところに大量に存在する酵素であつて,体内において生体酸化作用と共に,細胞毒であるH2O2を解毒する作用を行するといわれている。その量は多少の消長はあるとしても,生体内には必ず存在すると広く考えられて来た。
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