今月の主題 臨床医のための神経内科学
治療の現状
重症筋無力症
西谷 裕
1
Hiroshi Nishitani
1
1国立療養所宇多野病院
pp.1312-1313
発行日 1983年8月10日
Published Date 1983/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218388
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重症筋無力症(myasthenia gravis,以下MG)の治療の歴史をふり返ると,新しい治療の試みが新しい学説を生み出し,次の病因・病態の研究の進展をうながしている点で興味がある.
すなわち,1934年のフィゾスチグミンに始まるいわゆる抗コリン・エステラーゼ剤による薬理学的治療法の導入は,本症の病態が液性物質による神経筋接合部の興奮伝達障害にあることを証明することになった.また,本症の10〜20%に胸腺腫を合併することから経験的に行われるようになった胸腺摘出術の成績は,1960年Simpson1)によって,ヒト胸腺の自己免疫における重要な役割を予言させることになった.
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