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I.緒言
萎縮性鼻炎とは主として鼻甲介の粘膜及び骨の萎縮を生ずる疾患であり,此の中に単に之等の萎縮のみで痂皮形成を見ぬものと之に無臭性の薄い痂皮を生ずるものと,更に悪臭性の厚い痂皮を附着するものとの3群が臨床的に認められ,之等は同一疾患の程度の差であるか又之等が互に移行し得るものかどうか等に就ては現在判然としておらない。
萎縮性鼻炎の分類を成書に就て見ると大体に於て単純性萎縮性鼻炎と臭鼻症とに大別されているが之等の分類も各人により意味を幾分異にしている(第1表)。例えば萎縮のみで痂皮のないものを単純性萎縮性鼻炎と云い痂皮のあるものは悪臭の有無に不拘,臭鼻症としている人があり5),又痂皮があつて悪臭の無いものを単純性萎縮性鼻炎と呼び,悪臭のあるものを臭鼻症と呼び萎縮のみで痂皮のないものの分類がなされていないものがある7)8)。又之等を1度,2度,3度と分類している人もあるが之は之等が全て同一患の程度の差である様に誤解されるおそれがある。又更に之等を痂皮の有無に関係なく萎縮の程度で1度,2度と分類している人もある4)。此の様に現在萎縮性鼻炎の分類が混乱しており将来統計等をとる際不便であると考えられる。仍つて今回吾々は第2表の如く萎縮性鼻炎を臨床的に単純性萎縮性鼻炎と結痂性萎縮性鼻炎とに大別し後者を更に単純性結痂性萎縮性鼻炎と臭鼻症とに分類し更に之等の銘々に就て症候的及び原因的に細分類してゆくのが妥当である事を茲に提唱する次第である。
The classification of atrophic rhinitis is attempted by analysing 52 cases of this dis-ease. It is divided into simple and crust-forming types: the crust-forming is further divided into simple-crust-forming and malo-dorous-crust forming types. Numerically 28 cases (53.8%) belonged to the simple type, 32.7% to simple-crust forming and 13.5% to malodorous-crust-forming.
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