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I.緒言
萎縮性鼻炎は治癒困難な疾患でその原因,治療に就ても種々の研究発表が行われている。近時化学療法も可成り奏効するものもあり,又山崎,日野氏はNagarse,parotin併用療法に依り好結果を示した臭鼻症の2例を報告し本症の今後の治療に希望を与えている。本症は青春と共に始まり,更年期で終るものが多いと云われている。確かに臭鼻症では思春期頃より発現するものが多いが単純性萎縮性鼻炎では少年期より之を見る事もあり,又更年期で終ると云う点に就ては疾病が完全に治癒して正常鼻腔に戻るのか臭鼻症に於て痂皮のみ消失するものか或は自覚的苦痛のみ軽減消失するものか又単純性萎縮性鼻炎でも正常鼻腔に戻るものかこの点に就ての詳細な報告がない。勿論一部には臭鼻症が自然に治癒し正常鼻腔になつた報告もあるが,むしろ稀らしい例として報告されている程度である。一般に思春期は如何なる疾病に対しても苦痛が強く,例えば副鼻腔に於ても同様の事が云えると思う。北村教授は久保式手術に於て苦痛の消失せる患者でも他覚所見では必ずしも術後の状態を持続するのではなく移植弁に相当の萎縮を認め,上皮の化成を認めるものもあると述べている。手術後一定期間で他覚症状は或程度再現しているのに自覚症状のみ消失している事は手術及び其後の経過が或程度の精神療法になつているのではないかと考えられる。茲に吾々はこの点に就て些か本症と自覚的苦痛(自覚症状で受診を必要とする程の苦痛)に関する観察を行つたので報告する。
Symptoms of pain and suffering sensation seem to be significantly absent in cases of atrophic rhinitis : only 9 cases out of the 26 made such a complant. These 9 cases consisted of the majority belonging the age group of adolescence and early adult : a very few fell in the old age.
The authors state that the reason less compliants are made by people in the old-age category is likely the result of their becoming more or less tolerant to long-standing chronic malady and in addition to the fact that the people in old-age becoming less scrupulous. The authors object to the theory that spontaneous cure may occur at acclimatic period.
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