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I.緒言
気管套管抜去困難症に対する治療法は,従来より多種多様の方法があり,枚挙に遑のない程である。之は個々の症例により原因症状を異にする為,其適応を選択する必要がある事と,本症が極めて難治の疾患の一つである事による。就中,瘢痕性狭窄によるものの治療が患医共に絶えざる長間期の忍耐と工夫を要することは寺山等6)の述べる所である。一方,両側後筋麻痺については掛下3),元山4),佐藤5)等によつて報告されているが,その症例は少く,特に之に瘢痕性狭窄を伴つたものは極めて稀であると思われる。
我々は切創により両側後筋麻痺と瘢痕性狭窄を惹起せる患者に遭遇し,種々なる治療法を行うも成功せず,一時は絶望かと思われたが,忍耐と努力により1年7ヵ月の後に幸いに軽快せしめる事が出来たので,我々の施行した治療法と経過の概要について報告し御批判を仰ぎたいと思う。
Decanulation in authors' case of tracheo-tomy was found to be a difficulty due to comparatively a rare instance of bilateral paralysis of trachealis muscles which was added to cicatricial constriction of the tra-cheal opening. The procedure of decanula-tion which required a considerable amount of patience op the part of the patient and the surgeon resulted with success.
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