鼻疾患の女性々的現象に及ぼす影響

　緒言

　女性々的現象と鼻科領域との関係に就いては，1897年Fliessが報告して以来諸家の研究が行われて来た。

　本邦に於いても本田，進宅，松田氏等を始め2,3の研究が見られるが私共の一人，市原も茲10年来，月経，妊娠，更年期等の女性々的現象が鼻科領域に及ぼす影響に関して其の自，他覚的症状並に諸種の鼻疾患に及ぼす影響に就いて屡々学会に於いて述べ，又，本誌上にも発表した。此の様な女性々的現象が鼻科領域に及ぼす影響に就いての研究に比して逆に鼻疾患が性的現象に及ぼす影響に関しては研究に見るべきものが殆んど無い。僅かに前記松田氏及び河井氏に依る報告と喜多島，萩原氏等に依る動物実験が見られるのみである。

The effect of sex-cycle on diseases of the nose is studied among 122 adult women. Thenasal diseases that appeared to be effected by mentrural cycle were vasomotor-rhinitis 36.3%, Atrophic rhinitis, and chronic sinusitis, 10.3%. No effect was shown in hypertrophic rhinitis, acute rhinitis or deviated nasal sep-tum.