第3回綜合醫學賞入選論文
女性々的現象の鼻科領域に及ぼす影響—特に所謂血管運動神經性鼻炎との關係に就て
市原 正雄
1
1千葉醫科大學耳鼻咽喉科教室
pp.609-644
発行日 1953年10月20日
Published Date 1953/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200981
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第1章序論
耳鼻咽喉科領域と女性に於ける性的現象との關係に就ては,諸家の報告を見るも吾科領域中最も關係の密なるは,鼻科領域との關係なり。
1897年Fliess99)が之に關し報告せる以前にも2,3の報告を見るも,氏は鼻腔及び性器間の密接なる關係を認め,種々の性的刺戟より鼻内粘膜一定部位,即ち兩鼻中隔結節,兩下甲介前端及び左側中甲介前端とを生殖器部と稱し,月經,妊娠時之等部位に腫脹,暗赤色,出血,過敏性出現すとし,又該部の「コカイン」塗布,腐蝕に依り,鼻性月經困難症,陣痛の消退を來し得べしとせり。Fliessの述べたる事實に對し,Schiff155)(1901),Lehmann98)(1902,Opitz130)(1903),Koblanck84)(1908)等之に賛し,Linder101)(1902),Küttner97)(1929)等は之を極めて稀なるものとし,Kronig85)(1901),Chiari等之を否定せり。
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