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Ⅰ緒言
外耳道真菌症の治療に種々あり,ある程度の治療効果は認められるが,適切な治療が行われない場合は再発をなし外耳道炎,肉芽の発生があり全く異る所見を呈する場合がある。之等の治療のうちトリコマイシン等の特殊抗生剤もあるがフエニール醋酸水銀が現在でも最もよいと山下氏は述べられている。最近当臨床で外耳道真菌症にフエニール醋酸水銀を使用する意図のもとに薬局にその調剤を依頼したが常備されておらず一考のすえLos-Jelly,の主成分が0.1%フエニール醋酸水銀であることに着目之が使用を試みたところ,治療効果の意外に良好なることが認められたので小数例ではあるが報告し御批判を承りたい。Los-Jellyとは醋酸フエニール水銀0.1%基剤ステアリルアルコール10%,ワゼリン10%,グリセリン10%,ラウリル硫酸-ナトリウム0.3%で適当なる粘性を有する白色美麗の水溶性ゼリー剤で夏冬の気候によつて変化せず,一定の粘性を保ち主成分の醋酸フエール水銀は化学的に安定で分解されることなく長期効力を保つ。なおラウリル硫酸ナトリウムは浄化力が強い性状を有する。
Kato states that, in treatment of fungus infection of the external aural canal, Los-Jelly is highly effective without causing irritative reactions either to the canal or the tympanic membrane. The active ingredients of the jelly phenylacetate appears to be effective no less than when this agent is used in form of solution only that the former has advantage in being more readily applicable to the affected area.
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