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特集 耳鼻咽喉科領域の真菌感染の治療
1.外耳道真菌症の治療
1.Treatment for otomycosis of external ear canal
陣内 自治
1
,
武田 憲昭
1
Osamu Jinnouchi
1
1徳島大学医学部耳鼻咽喉科
pp.301-306
発行日 2007年4月20日
Published Date 2007/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100847
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Ⅰ.はじめに
近年,感染症が遷延化・難治化している理由として,薬剤耐性菌の増加だけでなく,副腎皮質ホルモン,免疫抑制剤,抗悪性腫瘍化学療法剤の使用増加による免疫機能の低下,患者の高齢化,糖尿病罹患率の増加などが挙げられる。細菌に対する抗菌薬の抗菌スペクトルが強力になるにつれて,菌交代現象としての真菌感染症が増加しており,抗真菌薬が多数開発されている。
耳鼻咽喉科領域の真菌症では,耳真菌症が最も頻度が高い。耳真菌症には中耳真菌症と外耳真菌症がある。外耳真菌症では外耳道真菌症が多く,耳介真菌症は少ない。また中耳真菌症は外耳道,鼓膜穿孔から真菌が中耳へ感染して発症することが多い。外耳道真菌症は,主に骨部外耳道から鼓膜にかけて真菌が寄生増殖して起こる浅在性真菌感染症である。しかし,外耳道の侵襲性アスペルギルス症が中耳,側頭骨に及ぶと不幸な転帰をとる場合もあるため,外耳道の段階での真菌感染のコントロールは非常に重要である。本稿では外耳道真菌症の病態,原因,治療の解説と最近の動向について述べる。
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