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可溶性下気道異物の運命
菱山 博文
1
,
上野 晋一
1
,
荒木 和人
1
1福岡赤十字病院耳鼻咽喉科
pp.493-495
発行日 1957年6月20日
Published Date 1957/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201799
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異物を気管或は気管支に吸引する下気道異物は乳幼児にもつとも多い疾患である。しかして幼児が間食としてもつとも好むものは飴玉或はチヤイナマーブル等の砂糖を固め口内でもてあそんで溶かす菓子類であつて誤つて吸引し,下気道異物となる機会がもつとも多い筈である。
それにもかかわらず此の種菓子類の異物症例は極めて少く文献中わずかに飴玉吸引による死亡例2例を発見するのみである。此の理由はいずこにあるのであろうか。大部分の症例が死の転帰をとる為報告例が少いと云う理由だけであろうか。その外に何か大きい原因があるのではなかろうかといささが疑問を感じていたが,先に此の疑問を解決すると思われる症例に遭遇し,1, 2の動物実験によつて可溶性下気道異物の運命を知り得たので,昭和28年の気管食道科学会に於て発表したが,最近又同様な飴玉による気管支異物を経験したので,此の2症例につきいささか考案を加え之を報告し,諸賢の御批判を仰ぎたいと思う。
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