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耳硬化症の診断
山本 馨
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1名古屋大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.581-584
発行日 1956年9月20日
Published Date 1956/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201625
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耳硬化症が中耳,時に内耳,主として耳小骨関節部,わけても鐙骨関節部に起きる特有な病変の為に伝音障碍を示す疾患であることは周知の通りである。其の病変の発生頻度はProf.Nylenの統計によると鐙骨関節部を包含する場合が最も多く総数の約90%を占めることが発表せられている。而し乍ら長期に亘る鐙骨の不動による二次的の内耳の病変が之に加わり,原発性中耳病変の外に,伝音感音両者合併の場合が存在し得る。此の様な症例に対しては内耳開窓の効果は,其の障碍の程度により区々であるけれども,伝音系障碍を示す場合には手術効果は刮目すべきものがあることも之亦広く知られている通りである。而し本疾患は,局所の他覚的症状は殆んどなく,其の特有な病歴並に聴力検査によつて之が診断を下す外はない。
私はLempert研究所で学んだ経験からDr.Lempertが現在行つている本疾患の診断を基として,其の診断方法の概略並に此の診断根拠に関連して本疾患の病態を少しく記載して御参考に供したい。
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