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Ⅰ.緒言
Intensity Difference Limen(強度差弁別閾値)を測定して,Recruitmentの有無を知ろうという企てを始めて臨床的に可能としたのは,1947年Békèsyである。即ちBékèsyは所請Békèsy型オーヂオメーターを製作し,それによつて得られた聴閾曲線の,上下に鋸歯状の振巾がD. L. をあらわし,従つてその大小でRecruitmentの有無を知ることが出来ると発表した。その後Lüscher and Zwislockiは,閾値上一定強度の点に於て,音の強さの変化を感知し得る実際の閾値を測定し,それによつてRecruitmentの有無を判断する方法を発表した。Békèsyの方法は,閾値に於ける上昇音と下降音による閾値の差の測定であり,厳密に云えばそれがIntensity Difference Limenであるとの積極的な証明は無く,Hirsch,Palva and Goodmannは,それをD. L. ではなく,閾値の変動であるとさえ述べた程でありその意味ではLüscher等の方法は,少くとも音の強さの変化の弁別を測定しているものと云えよう。一般にD. L. testと云えば,従つて後者を指すものである。然し乍ら,本法に於てもその測定法,殊に判定の規準に関しては,必ずしも一致したものは得られていない。最も大きい相異は,Lüscher and Zwislockiによつて始められた閾値上一定強度に於けるD. L. 値の大小を問題とする方法と,Denes and Nauntonによつて始められた閾値上の或る二点に於けるD. L. 値の相対的な関係を問題とする方法である。
著者等は主としてこれ等の点に於て,Recruitment測定法としてのD. L. testに検討を加える目的を以て,主として臨床例に就て考察した。大方の御批判を得れば幸である。
Tsuiki and Nakashima find, by examining 120 ears, that difference limen test for dectection of presence of recruitment is cumbersome and not altogether decisive as a diagnostic procedure.
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