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テラマイシンによる中耳炎点耳療法
大澤 林之助
1
,
添野 精一
1
,
鈴木 敬
1
1東京逓信病院耳鼻咽喉科
pp.219-222
発行日 1955年4月20日
Published Date 1955/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201312
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耳疾患に対するテラマイシンの経口並びに注射による効果は既に発表されている通りで,抗生物質療法の基準として明かに示されている。然しテラマイシンを局所に使用した点耳効果に就いては未だ発表を見ていない。衆知の如くテラマイシンは,抗菌スペクトラムが広く,最も普及している抗生物質であるペニシリン等の奏効せぬグラム陰性桿菌にも作用し,且つペニシリン耐性菌にも有効であるとされている。又慢性中耳炎は,色々な抗生物質或はナルフア剤等の全身投与では,急性中耳炎の場合に比して効果が少く,従つて局所療法を必要とする事が屡々経験されており,ペニシリン耐性の萄葡球菌或はグラム陰性桿菌の存在するものも少くないので,テラマイシン点耳療法が如何なる奏効を示すかは興味深いものである。
今回テラマイシンOtticによる点耳療法を行う機会にめぐまれ,いさゝか治験を得たので,僅かな症例ではあるがこゝに発表する次第である。
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