Japanese
English
特集 聴覚障害を生じる薬物
1.点耳洗浄
1.Ear drops and irrigation
萩森 伸一
1
Shinichi Hagimori
1
1大阪医科大学感覚器機能形態医学講座耳鼻咽喉科学教室
pp.747-752
発行日 2009年10月20日
Published Date 2009/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101501
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Ⅰ.はじめに
点耳・耳内洗浄は外耳および中耳の炎症性疾患治療として頻用される。鼻疾患に対するネブライザー療法と同様,高濃度の薬剤が直接病変に到達することで速やかな消炎が期待でき,文献的にも穿孔を有する中耳炎1),鼓膜換気チューブ留置中の耳漏を伴う急性中耳炎2~7),慢性化膿性中耳炎1,8)における局所点耳の有用性が報告されている。反面,外耳道皮膚や鼓膜,中耳粘膜に対する薬物の影響も大きく,局所刺激による疼痛や炎症の増悪に注意する必要がある。また解剖学的に中耳は正円窓および卵円窓を介して内耳と接しており,特に正円窓膜は薬剤透過性を有することから,点耳・洗浄時には薬剤の内耳毒性についても留意しなければならない。
本稿では点耳・耳内洗浄に使用されている代表的な薬剤について,聴器毒性を中心とした副作用について述べる。
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